【ブラックジャック基本戦略】アップカード7の時、ハード16でヒットすべき?
こんにちは。哲です。数字でわかるブラックジャック講座の時間がやってまいりました。
さていきなり質問です。以下の状況のとき、あなたはヒットしますか?それともスタンドですか?
ディーラーのアップカードが絵札、プレーヤーのハンドが16です。
はい、答えがでましたか?答え合わせの前にもう一問。
今度はディーラーのアップカードが7、プレーヤーのハンドが16です。
まずはご自身で考えてみてください。
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では答え合わせです。この二つの状況はブラックジャックの基本戦略上ともにヒットです。
基本戦略を知らない方はまずヒットできないと思います。しかし問題は基本戦略を知っているのにヒットできない人です。とくに2番目の例、ディーラーのアップカードが7で、プレーヤーのハンドが16の場合。
「基本戦略上はヒットって知ってるけど、やっぱりヒットは怖いな~、とくにディーラーのアップカード7でそれほど強いというわけじゃないし。。」
こういう方が結構多いと思いますので、今回このハンド16の時(12~15の場合も同様)のヒットの有用性を検証していきたいと思います。
動画解説
計算の前提
実際に計算する前に以下の計算では2つの前提を設けておきます。
確率計算上の前提
①プレーヤーの行動は基本戦略によります。 ②確率の算定上、見えてしまったカードの分は考慮しないことにします。 (Aをハンドで使う場合、ヒットした時Aが来る確率は全体のAの数から1枚引く必要がありますが、ここでは考慮しないということです) |
ハンド16VSアップカード10の時に選択(簡便法)
細かい計算をする前にできるだけ感覚的に理解できるように簡便的にハンド16VSアップカード10の時に選択について解説します。分かりやすくするため、大雑把な仮定を置いて計算します。正確な計算を知りたい方は簡便的な計算後、正確に計算していきますので最後まで読んでください。
またアップカード7の時の計算は正確に計算しないと分からないと思いますので、こちらもあと回しにします。
ここで計算するのはハンド16のプレーヤーが17以上のハンドを作れる確率と該当数字のアップカードにおけるディーラーのバスト率です。
プレーヤーがハンドを作れる確率が、ディーラーのバスト率を上回ればヒットしたほうが勝てる可能性が上がる、逆に下回ればスタンドをしたほうが勝つ可能性が上がることになります。
プレーヤー17以上率>ディーラーバスト率 →ヒットすべき
プレーヤー17以上率<ディーラーバスト率 →スタンドすべき |
ハンド16の時に17以上ができる確率(Player)
まずプレーヤーのハンドの検証から。ハンド16の時、ヒットしたらバストせず17以上のハンドを作れる確率を検証します。
13枚あるカードのうち、一つの数字が出る確率は1/13です。デッキが増えようと同数ずつカードが増えますので確率は変わりません。
ハンド16の時バストするカードは6以上の8枚です。逆に言うとバストせずに17以上を作れるカードは5枚。
確率はバストする確率は8/13、17以上のハンドが入る確率が5/13です。
なんと60%以上の確立でバストするのですね。これではヒットをためらわれるのも納得です。
ここでプレーヤーがバストしない確率が出てきました。5/13(38.46%)です。これがディーラーのバスト率を上回ればヒットしたほうがいいことになります。
(まとめ1)ハンド16の時、ヒットすると
バストする→8/13(61.54%※) バストしない→5/13(38.46%※) ※小数点三位四捨五入 |
アップカード10の時のバスト率(Dealer)
では次にディーラーが10の時にバストしない確率を計算します。ここで話を簡単にするために一つ前提を加えておきます。
(前提)ディーラー2枚のハンドで17以上ができてない場合、すべてバストしたものとみなす。
非常に非現実的な前提ですが、計算を簡単にし本質を分かりやすくすることができますので、この仮定のもと話をすすめます。
ディーラーのダウンカードが、A+7~Kの時(8枚)に17以上のハンドを作ります。逆にいうと先ほど立てた前提のもとディーラーがバストする確率は5/13(38.46%)になります。
(まとめ2)アップカード2の時、ディーラーのバスト率(2枚で17を作れないときはバストという仮定のもと)
5/13(38.46%※) ※小数3位四捨五入 |
これで2つの確率が出ました。プレーヤーがハンド16でヒットしてバストしない確率38.46%、アップカード10の時、ディーラーがバストする確率38.46%で同じ確率です。
つまりヒットしてもスタンドしても勝率には影響しないということです。
(まとめ2)
プレーヤー:ハンド16の時にヒットして17以上のハンドになる確率=ディーラー:アップカード10の時にバストする確率 38.46%=38.46% ヒットしてもスタンドしても勝率は変わらない |
ということは
「あれ?勝率が変わらないなら、ハンド16の時に無理にヒットする必要ないじゃん。基本戦略いい加減だな(笑)」
なんて話にはなりませんよ(笑)
ここで先ほど立てた非現実な家庭を思い出してください。
(前提)ディーラー2枚のハンドで17以上ができてない場合、すべてバストしたものとみなす。
この前提がいかに非現実か説明なくてもわかりますよね。ディーラーの最初のハンドが10+6で16だった場合、5/13(38.46%)の確立で17以上のハンドを作ることになります。
この前提を除けば細かい計算はわからなくても、ディーラーのバスト率が5/13(38.46%)より下がることは一目瞭然ですね。
つまり
プレーヤーにハンドが入る確率>ディーラーのバスト率
となり、プレーヤーはディーラーのバストを待つより、ヒットしたほうがいいという結論に至ります。
(非現実な仮定を除くと)
プレーヤーにハンドが入る確率38.46%>ディーラーのバスト率38.46%より確実に低い よってプレーヤーはヒットすべき |
それぞれのハンドのディーラーバスト率
今までは大雑把にみていきましたが、これから細かく計算していこうと思います。まずハンド別のディーラーのバスト率を出したいと思います。
各ハンドの最終確率算定で小数3位四捨五入します。
ハンド16
ディーラーがバストしないカードは5つありますから、13から5をマイナスすると8。8枚がバストカードになります。これを13で割れば確率が出てきますよね。
8/13=61.54%
ハンド15
まずヒットして即バストするカードが7以上の7枚。これが7/13の確率で生じます。さらにAの場合ですが、ハンド16を作りディーラーはヒットをします。ハンド16のバスト率8/13で、これがAの時、1/13の確立で起こります。
よって計算式は
8/13×1/13+7/13=99/169(58.58%)
つまりハンド15の時は58.58%の確立でディーラーはバストするということです。
ハンド14
ヒットして即バストするカードが8以上の6枚。そしてAの時はハンド15(バスト率58.58%)を作り、2の時はハンド16(バスト率61.54%)を作ります。ハンド15と16の時のバスト率は上記で計算済みですよね。そしてそれらが1/13の確率でそれぞれ生じます。
だから計算式は
58.58%×1/13+61.54%×1/13+6/13=55.39%
ハンド14の時ディーラーは55.39%の確率でバストします。
ハンド13
まず即バストが確定するカードが9以上の5枚。そしてAを引いたときはハンド14、2はハンド15、3はハンド16を作ります。これらがそれぞれ1/13の確率で発生します。
計算式は
55.39%×1/13+58.58%×1/13+61.51%×1/13+5/13=51.96%
ハンド13の時、51.96%の確率でバストするということです。
ハンド12
ヒットで即バストするカードが10以上の4枚。そしてAを引くとハンド13、2はハンド14、3はハンド15、4はハンド16を作ります。これらがそれぞれ1/13の確率で発生します。
よって計算式は
51.96%×1/13+55.39%×1/13+58.58%×1/13+61.54%×1/13+4/13=48.27%
よってハンド12の時のディーラーは48.27%の確率でバストすることになります。
ハンド11
11の場合、即バストするカードはありません。Aを引いたときハンド12、2はハンド13、3はハンド14、4はハンド15、5はハンド16を作ります。そしてそれらがそれぞれ1/13の確率で生じます。
よって計算式は
48.27%×1/13+51.96%×1/13+55.39%×1/13+58.58%×1/13+61.54%×1/13=21.21%
つまりディーラーはハンド11の時、21.21%の確率でバストするということです。12までと比べてぐっとバスト率が下がったがわかると思います。
ハンド10
ハンド10の時、即バストするカードはありません。次のカードがAでブラックジャック、7~Kの時もハンド17以上が確定します。その他、2を引くと12、3を引くと13、4を引くと14、5を引くと15、6を引くと16です。
これを計算すると
48.27%×1/13+51.96%×1/13+55.39%×1/13+58.58%×1/13+61.54%×1/13=21.21%
ハンド10の時、ディーラーは21.21%の確率でバストするということです。
ハンド9
ハンド9のときも同様に。
21.21%×1/13+48.27%×1/13+51.96%×1/13+55.39%×1/13+58.58%×1/13+61.54%×1/13=22.84%
ディーラーはハンド9の時、22.84%の確率でバストするということです。
ディーラーのバスト率まとめ
16 | 15 | 14 | 13 | 12 | 11 | 10 | 9 |
61.54% | 58.58% | 55.39% | 51.96% | 48.27% | 21.21% | 21.21% | 22.84% |
ハンド16VSアップカード10(正確に)
ここで最初のプレーヤーのハンド16、ディーラーのアップカード10の事例に戻りましょう。
プレーヤーがヒットをして17以上のハンドを作る確率(バストしない確率)が、ディーラーがヒットをしてバストする確率を上回っていればヒットすべきで、下回ればスタンドすべきです。
プレーヤーがハンド17以上の確率=38.46%
これは最初に計算した通りです。
またアップカード10の時、ディーラーがバストする確率はディーラーのハンドが10の時のバスト率と同義ですから、上記で計算した通り21.21%。
ディーラーがバストする確率=21.21%
つまり
38.46%>21.21%
17.25%分、ヒットしたほうがいいことになります。
さて今度はアップカードが7の事例を考えてみましょう。
ハンド16VSアップカード7(正確に)
プレーヤーのハンドが16で、ディーラーのアップカード7の時のバスト率を計算しましょう。
計算式は
22.84%×1/13+21.21%×1/13+21.21%×1/13+48.27%×1/13+51.96%×1/13+55.39%×1/13+58.58%×1/13+61.54%×1/13=26.23%
アップカード7の場合、ディーラーは26.23%の確率でバストするということです。
プレーヤーがハンド17以上の確率=38.46%
アップカード7のディーラーのバスト率=26.23%
38.46%>26.23%
となり12.23%分、ヒットしたほうがいいということです。
ここで注目すべき点はアップカード7の時のバスト率はアップカード10の時と比べて、それほど低くならないということです。それほど強くないカードと思いきや、バストする確率は26.23%しかないのです。
まとめ
プレーヤー16で、ディーラーアップカード10の時は17.25%分ヒットしたほうが有利で、プレーヤー16で、ディーラーアップカード7の時は12.23%分ヒットしたほうが有利になります。
ブラックジャックの基本戦略は適当に決められているのではなく、厳密に計算されてはじき出された公式ですので、基本戦略をしっかり守ってプレイすることで感覚でプレイするよりもずっと有利にゲームを運ぶことができます。
基本戦略の重要性を再認識してくださいね。
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